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〘332㌻〙

第1章

1 神かみの御意みこゝろにより召めされてイエス・キリストの使󠄃徒しととなれるパウロ及および兄弟きゃうだいソステネ、 2 書ふみをコリントに在ある神かみの敎會けうくわい、即すなはちいづれの處ところにありても、我われらの主しゅ、ただに我等われらのみならず彼かれらの主しゅなるイエス・キリストの名なを呼よび求もとむる者ものとともに聖󠄃徒せいととなるべき召めしを蒙かうむり、キリスト・イエスに在ありて潔󠄄きよめられたる汝なんぢらに贈おくる。 3 願ねがはくは我われらの父󠄃ちちなる神かみおよび主しゅイエス・キリストより賜たまふ恩惠めぐみと平󠄃安へいあんと汝なんぢらに在あらんことを。

4 われ汝なんぢらがキリスト・イエスに在ありて神かみより賜たまはりし恩惠めぐみに就つきて常つねに神かみに感謝󠄃かんしゃす。 5 汝なんぢらはキリストに在ありて、諸般もろもろのこと即すなはち凡すべての言ことばと凡すべての悟さとりとに富とみたればなり。 6 これキリストの證あかし、なんぢらの中うちに堅かたうせられたるに因よる。 7 斯かく汝なんぢらは凡すべての賜物たまものに缺かくる所󠄃ところなくして我われらの主しゅイエス・キリストの現あらはれ給たまふを待まてり。 8 彼かれは汝なんぢらを終󠄃をはりまで堅かたうして我われらの主しゅイエス・キリストの日ひに責せむべき所󠄃ところなからしめ給たまはん。 9 汝なんぢらを召めして其その子こわれらの主しゅイエス・キリストの交󠄄際まじはりに入いらしめ給たまふ神かみは眞󠄃實まことなる哉かな。

10 兄弟きゃうだいよ、我われらの主しゅイエス・キリストの名なに賴よりて汝なんぢらに勸󠄂すゝむ、おのおの語かたるところを同おなじうし、分󠄃爭ぶんさうする事ことなく同おなじ心こゝろ、おなじ念おもひにて全󠄃まったく一ひとつになるべし。 11 わが兄弟きゃうだいよ、クロエの家いへの者もの、なんぢらの中うちに紛󠄃爭あらそひあることを我われに知しらせたり。
 332㌻ 
12 即すなはち汝なんぢ等らおのおの『我われはパウロに屬ぞくす』『われはアポロに』『我われはケパに』『我われはキリストに』と言いふこれなり。 13 キリストは分󠄃わかたるる者ものならんや、パウロは汝なんぢらの爲ために十字架じふじかにつけられしや、汝なんぢらパウロの名なに賴よりてバプテスマを受うけしや。 14 我われは感謝󠄃かんしゃす、クリスポとガイオとの他ほかには、我われなんぢらの中うちの一人ひとりにもバプテスマを施ほどこさざりしを。 15 是これわが名なに賴よりて汝なんぢらがバプテスマを受うけしと人ひとの言いふ事ことなからん爲ためなり。 16 またステパノの家族かぞくにバプテスマを施ほどこしし事ことあり、此この他ほかには我われバプテスマを施ほどこしし事ことありや知しらざるなり。 17 そはキリストの我われを遣󠄃つかはし給たまへるはバプテスマを施ほどこさせん爲ためにあらず、福音󠄃ふくいんを宣傳のべつたへしめんとてなり。而しかして言ことばの智慧󠄄ちゑをもつてせず、是これキリストの十字架じふじかの虛むなしくならざらん爲ためなり。

18 それ十字架じふじかの言ことばは亡ほろぶる者ものには愚おろかなれど、救すくはるる我われらには神かみの能力ちからなり。〘241㌻〙 19 錄しるして 『われ智者ちしゃの智慧󠄄ちゑをほろぼし、 慧󠄄さとき者ものの慧󠄄さときを空󠄃むなしうせん』とあればなり。 20 智者ちしゃいづこにか在ある、學者がくしゃいづこにか在ある、この世よの論者ろんしゃいづこにか在ある、神かみは世よの智慧󠄄ちゑをして愚おろかならしめ給たまへるにあらずや。 21 世よは己おのれの智慧󠄄ちゑをもて神かみを知しらず(これ神かみの智慧󠄄ちゑに適󠄄かなへるなり)この故ゆゑに神かみは宣敎せんけうの愚おろかをもて、信しんずる者ものを救すくふを善よしとし給たまへり。 22 ユダヤ人びとは徴しるしを請󠄃こひ、ギリシヤ人びとは智慧󠄄ちゑを求もとむ。 23 されど我われらは十字架じふじかに釘つけられ給たまひしキリストを宣傳のべつたふ。これはユダヤ人びとに躓物つまづきとなり、異邦󠄆人いはうじんに愚おろかとなれど、 24 召めされたる者ものにはユダヤ人びとにもギリシヤ人びとにも神かみの能力ちから、また神かみの智慧󠄄ちゑたるキリストなり。 25 神かみの愚おろかは人ひとよりも智かしこく、神かみの弱󠄃よわきは人ひとよりも强つよければなり。
 333㌻ 

26 兄弟きゃうだいよ、召めしを蒙かうむれる汝なんぢらを見みよ、肉󠄁にくによれる智かしこき者ものおほからず、能力ちからある者ものおほからず、貴たふときもの多おほからず。 27 されど神かみは智かしこき者ものを辱はづかしめんとて世よの愚おろかなる者ものを選󠄄えらび、强つよき者ものを辱はづかしめんとて弱󠄃よわき者ものを選󠄄えらび、 28 有󠄃ある者ものを亡ほろぼさんとて世よの卑いやしきもの、輕かろんぜらるる者もの、すなはち無なきが如ごとき者ものを選󠄄えらび給たまへり。 29 これ神かみの前󠄃まへに人ひとの誇ほこる事ことなからん爲ためなり。 30 汝なんぢらは神かみに賴よりてキリスト・イエスに在あり、彼かれは神かみに立たてられて我われらの智慧󠄄ちゑと義ぎと聖󠄃せいと救贖あがなひとになり給たまへり。 31 これ『誇ほこる者ものは主しゅに賴よりて誇ほこるべし』と錄しるされたる如ごとくならん爲ためなり。

第2章

1 兄弟きゃうだいよ、われ曩さきに汝なんぢらに到いたりしとき、神かみの證あかしを傳つたふるに言ことばと智慧󠄄ちゑとの優すぐれたるを用もちひざりき。 2 イエス・キリスト及およびその十字架じふじかに釘つけられ給たまひし事ことのほかは、汝なんぢらの中うちにありて何なにをも知しるまじと心こゝろを定さだめたればなり。 3 我われなんぢらと偕ともに居をりし時ときに弱󠄃よわく、かつ懼おそれ、甚いたく戰おのゝけり。 4 わが談話だんわも、宣敎せんけうも、智慧󠄄ちゑの美うるはしき言ことばによらずして、御靈みたまと能力ちからとの證明しょうめいによりたり。 5 これ汝なんぢらの信仰しんかうの、人ひとの智慧󠄄ちゑによらず、神かみの能力ちからに賴よらん爲ためなり。

6 然されど我われらは成󠄃人せいじんしたる者ものの中うちにて智慧󠄄ちゑを語かたる。これ此この世よの智慧󠄄ちゑにあらず、又󠄂またこの世よの廢すたらんとする司つかさたちの智慧󠄄ちゑにあらず、 7 我われらは奧義おくぎを解ときて神かみの智慧󠄄ちゑを語かたる、即すなはち隱かくれたる智慧󠄄ちゑにして神かみわれらの光榮くわうえいのために世よの創はじめの先さきより預あらかじめ定さだめ給たまひしものなり。 8 この世よの司つかさには之これを知しる者ものなかりき、もし知しらば榮光えいくわうの主しゅを十字架じふじかに釘つけざりしならん。 9 錄しるして 『神かみのおのれを愛あいする者もののために備そなへ給たまひし事ことは、 眼めいまだ見みず、耳みゝいまだ聞きかず、 人ひとの心こゝろいまだ思おもはざりし所󠄃ところなり』と有󠄃あるが如ごとし。〘242㌻〙
 334㌻ 
10 然されど我われらには神かみこれを御靈みたまによりて顯あらはし給たまへり。御靈みたまはすべての事ことを究きはめ、神かみの深ふかき所󠄃ところまで究きはむればなり。 11 それ人ひとのことは己おのが中うちにある靈れいのほかに誰たれか知しる人ひとあらん、斯かくのごとく神かみのことは神かみの御靈みたまのほかに知しる者ものなし。 12 我われらの受うけし靈れいは世よの靈れいにあらず、神かみより出いづる靈れいなり、是これわれらに神かみの賜たまひしものを知しらんためなり。 13 又󠄂またわれら之これを語かたるに人ひとの智慧󠄄ちゑの敎をしふる言ことばを用もちひず、御靈みたまの敎をしふる言ことばを用もちふ、即すなはち靈れいの事ことに靈れいの言ことばを當あつるなり。 14 性來うまれつきのままなる人ひとは神かみの御靈みたまのことを受うけず、彼かれには愚おろかなる者ものと見みゆればなり。また之これを悟さとること能あたはず、御靈みたまのことは靈れいによりて辨わきまふべき者ものなるが故ゆゑなり。 15 されど靈れいに屬ぞくする者ものは、すべての事ことをわきまふ、而しかして己おのれは人ひとに辨わきまへらるる事ことなし。 16 誰たれか主しゅの心こゝろを知しりて主しゅを敎をしふる者ものあらんや。然されど我われらはキリストの心こゝろを有󠄃もてり。

第3章

1 兄弟きゃうだいよ、われ靈れいに屬ぞくする者ものに對たいする如ごとく汝なんぢらに語かたること能あたはず、反かへつて肉󠄁にくに屬ぞくするもの、即すなはちキリストに在ある幼兒をさなごに對たいする如ごとく語かたれり。 2 われ汝なんぢらに乳󠄃ちゝのみ飮のませて堅かたき食󠄃物しょくもつを與あたへざりき。汝なんぢ等らそのとき食󠄃くらふこと能あたはざりし故ゆゑなり。 3 今いまもなほ食󠄃くらふこと能あたはず、今いまもなほ肉󠄁にくに屬ぞくする者ものなればなり。汝なんぢらの中うちに嫉妬ねたみと紛󠄃爭あらそひとあるは、これ肉󠄁にくに屬ぞくする者ものにして世よの人ひとの如ごとくに步あゆむならずや。 4 或ある者ものは『われパウロに屬ぞくす』といひ、或ある者ものは『われアポロに屬ぞくす』と言いふ、これ世よの人ひとの如ごとくなるにあらずや。 5 アポロは何なに者ものぞ、パウロは何なに者ものぞ、彼かれ等らはおのおの主しゅの賜たまふところに隨したがひ、汝なんぢらをして信しんぜしめたる役者えきしゃに過󠄃すぎざるなり。 6 我われは植うゑ、アポロは水みづ灌そゝげり、されど育そだてたるは神かみなり。
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7 されば種ううる者ものも、水みづ灌そゝぐ者ものも數󠄄かぞふるに足たらず、ただ尊󠄅たふときは育そだてたまふ神かみなり。 8 種ううる者ものも、水みづ灌そゝぐ者ものも歸きする所󠄃ところは一ひとつなれど、各自おのおのおのが勞らうに隨したがひて其その値あたひを得うべし。 9 我われらは神かみと共ともに働はたらく者ものなり。汝なんぢらは神かみの畠はたけなり、また神かみの建󠄄築物たてものなり。

10 我われは神かみの賜たまひたる恩惠めぐみに隨したがひて熟鍊じゅくれんなる建󠄄築師けんちくしのごとく基もとゐを据すゑたり、而しかして他ほかの人ひとその上うへに建󠄄たつるなり。然されど如何いかにして建󠄄たつべきか、おのおの心こゝろして爲なすべし、〘243㌻〙 11 旣󠄁すでに置おきたる基もとゐのほかは誰たれも据すうること能あたはず、この基もとゐは即すなはちイエス・キリストなり。 12 人ひともし此この基もとゐの上うへに金きん・銀ぎん・寳石はうせき・木き・草くさ・藁わらをもつて建󠄄たてなば、 13 各人おのおのの工わざは顯あらはるべし。かの日ひこれを明あきらかにせん、かの日ひは火ひをもつて顯あらはれ、その火ひおのおのの工わざの如何いかんを驗ためすべければなり。 14 その建󠄄たつる所󠄃ところの工わざ、もし保たもたば値あたひを得え、 15 もし其その工わざ燒やけなば損そんすべし。然されど己おのれは火ひより脫のがれ出いづる如ごとくして救すくはれん。 16 汝なんぢら知しらずや、汝なんぢらは神かみの宮みやにして神かみの御靈みたまなんぢらの中うちに住󠄃すみ給たまふを。 17 人ひともし神かみの宮みやを毀こぼたば神かみかれを毀こぼち給たまはん。それ神かみの宮みやは聖󠄃せいなり、汝なんぢらも亦またかくの如ごとし。

18 誰たれも自みづから欺あざむくな。汝なんぢ等らのうち此この世よにて自みづから智かしこしと思おもふ者ものは、智かしこくならんために愚おろかなる者ものとなれ。 19 そは此この世よの智慧󠄄ちゑは神かみの前󠄃まへに愚おろかなればなり。錄しるして『彼かれは智者ちしゃをその惡巧たくみによりて捕とらへ給たまふ』 20 また『主しゅは智者ちしゃの念おもひの虛むなしきを知しり給たまふ』とあるが如ごとし。 21 さらば誰たれも人ひとを誇ほこりとすな、萬よろづの物ものは汝なんぢらの有󠄃ものなればなり。 22 或あるひはパウロ、或あるひはアポロ、或あるひはケパ、或あるひは世界せかい、あるひは生せい、あるひは死し、あるひは現在げんざいのもの、或あるひは未來みらいのもの、皆みななんぢらの有󠄃ものなり。
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23 汝なんぢ等らはキリストの有󠄃もの、キリストは神かみのものなり。

第4章

1 人ひと、宜よろしく我われらをキリストの役者えきしゃまた神かみの奧義おくぎを掌つかさどる家いへ司つかさのごとく思おもふべし。 2 さて家いへ司つかさに求もとむべきは忠實ちゅうじつならん事ことなり。 3 我われは汝なんぢらに審さばかれ、或あるひは人ひとの審判󠄄さばきによりて審さばかるることを最いと小ちひさき事こととし、また自みづからも己おのれを審さばかず。 4 我われみづから責せむべき所󠄃ところあるを覺おぼえねど、之これに由よりて義ぎとせらるる事ことなければなり。我われを審さばきたまふ者ものは主しゅなり。 5 然されば主しゅの來きたり給たまふまでは時ときに先さきだちて審判󠄄さばきすな。主しゅは暗󠄃くらきにある隱かくれたる事ことを明あきらかにし、心こゝろの謀計はかりごとをあらはし給たまはん。その時ときおのおの神かみより其その譽ほまれを得うべし。

6 兄弟きゃうだいよ、われ汝なんぢ等らのために此これ等らのことを我われとアポロとの上うへに當あてて言いへり。これ汝なんぢらが『錄しるされたる所󠄃ところを踰こゆまじき』を我われらの事ことによりて學まなび、この人ひとをあげ、かの人ひとを貶おとして誇ほこらざらん爲ためなり。 7 汝なんぢをして人ひとと異ことならしむる者ものは誰たれぞ、なんぢの有󠄃もてる物ものに何なにか受うけぬ物ものあるか。もし受うけしならば、何なにぞ受うけぬごとく誇ほこるか。 8 なんぢら旣󠄁すでに飽󠄄あき、旣󠄁すでに富とめり、我われらを差措さしおきて王わうとなれり。われ實じつに汝なんぢらが王わうたらんことを願ねがふ、われらも共ともに王わうたることを得えんが爲ためなり。〘244㌻〙 9 我われおもふ、神かみは使󠄃徒しとたる我われらを死しに定さだめられし者もののごとく、後しりへの者ものとして見みせ給たまへり。實じつに我われらは宇宙うちうのもの、即すなはち御使󠄃みつかひにも、衆人ひとびとにも、觀物みものにせられたるなり。 10 我われ等らはキリストのために愚おろかなる者ものとなり、汝なんぢらはキリストに在ありて慧󠄄さとき者ものとなれり。我等われらは弱󠄃よわく汝なんぢらは强つよし、汝なんぢらは尊󠄅たふとく我われらは卑いやし。 11 今いまの時ときにいたるまで我われらは飢󠄄うゑ、渇かわき、また裸はだかとなり、また打うたれ、定さだまれる住󠄃家すみかなく、 12 手てづから働はたらきて勞らうし、罵のゝしらるるときは祝しくし、責せめらるるときは忍󠄄しのび、
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13 譏󠄃そしらるるときは勸󠄂すゝめをなせり。我われらは今いまに至いたるまで世よの塵芥あくたのごとく、萬よろづの物ものの垢あかのごとく爲せられたり。

14 わが斯かく書しるすは汝なんぢらを辱はづかしめんとにあらず、我わが愛あいする子ことして訓戒くんかいせんためなり。 15 汝なんぢ等らにはキリストに於おける守役もりやく一萬いちまんありとも、父󠄃ちちは多おほくあることなし。そはキリスト・イエスに在ありて福音󠄃ふくいんにより汝なんぢらを生うみたるは、我われなればなり。 16 この故ゆゑに汝なんぢらに勸󠄂すゝむ、我われに效ならふ者ものとならんことを。 17 之これがために主しゅにありて忠實ちゅうじつなる我わが愛子あいしテモテを汝なんぢらに遣󠄃つかはせり。彼かれは我わがキリストにありて行おこなふところ、即すなはち常つねに各地かくちの敎會けうくわいに敎をしふる所󠄃ところを汝なんぢらに思おもひ出いださしむべし。 18 わが汝なんぢらに到いたること無なしとして誇ほこる者ものあり。 19 されど主しゅの御意みこゝろならば速󠄃すみやかに汝なんぢ等らにいたり、誇ほこる者ものの言ことばにはあらで、その能力ちからを知しらんとす。 20 神かみの國くには言ことばにあらず、能力ちからにあればなり。 21 汝なんぢら何なにを欲ほっするか、われ笞しもとをもて到いたらんか、愛あいと柔和にうわの心こゝろとをもて到いたらんか。

第5章

1 現げんに聞きく所󠄃ところによれば、汝なんぢらの中うちに淫行いんかうありと、而しかしてその淫行いんかうは異邦󠄆人いはうじんの中うちにもなき程󠄃ほどにして、或ある人ひとその父󠄃ちちの妻つまを有󠄃もてりと云いふ。 2 斯かくてもなほ汝なんぢら誇ほこることをなし、斯かゝる行爲おこなひをなしし者ものの除のぞかれんことを願ねがひて悲かなしまざるか。 3 われ身みは汝なんぢらを離はなれ居をれども、心こゝろは偕ともに在ありて其處そこに居をるごとく、斯かゝることを行おこなひし者ものを旣󠄁すでに審さばきたり。 4 即すなはち汝なんぢら及および我わが靈れいの、我われらの主しゅイエスの能力ちからをもて偕ともに集あつまらんとき、主しゅイエスの名なによりて、 5 斯かくのごとき者ものをサタンに付わたさんとす、是これその肉󠄁にくは亡ほろぼされて、其その靈れいは主しゅイエスの日ひに救すくはれん爲ためなり。
 338㌻ 
6 汝なんぢらの誇ほこりは善よからず。少すこしのパン種だねの、粉󠄃こなの團塊かたまりをみな膨ふくれしむるを知しらぬか。 7 なんぢら新あたらしき團塊かたまりとならんために舊ふるきパン種だねを取とり除のぞけ、汝なんぢらはパン種だねなき者ものなればなり。夫それわれらの過󠄃越すぎこしの羔羊こひつじ、即すなはちキリスト旣󠄁すでに屠󠄃ほふられ給たまへり、 8 されば我われらは舊ふるきパン種だねを用もちひず、また惡あくと邪󠄅曲よこしまとのパン種だねを用もちひず、眞󠄃實しんじつと眞󠄃まこととの種たねなしパンを用もちひて祭まつりを行おこなふべし。〘245㌻〙

9 われ前󠄃さきの書ふみにて淫行いんかうの者ものと交󠄄まじはるなと書かき贈おくりしは、 10 此この世よの淫行いんかうの者もの、または貪欲どんよくのもの、奪うばふ者もの、または偶像󠄃ぐうざうを拜をがむ者ものと更󠄃さらに交󠄄まじはるなと言いふにあらず(もし然しかせば世よを離はなれざるを得えず) 11 ただ[*]兄弟きゃうだいと稱󠄄となふる者ものの中うちに或あるひは淫行いんかうのもの或あるひは貪欲どんよくのもの或あるひは偶像󠄃ぐうざうを拜をがむ者もの、あるひは罵のゝしるもの或あるひは酒さけに醉ゑふもの或あるひは奪うばふ者ものあらば、斯かゝる人ひとと交󠄄まじはることなく、共ともに食󠄃しょくする事ことだにすなとの意こゝろなり。[*或は「今また書き贈る、兄弟……すな」と譯す。] 12 外そとの者ものを審さばくことは我われの干あづかる所󠄃ところならんや、汝なんぢらの審さばくは、ただ內うちの者ものならずや。 13 外そとにある者ものは神かみこれを審さばき給たまふ、かの惡あしき者ものを汝なんぢらの中うちより退󠄃しりぞけよ。

第6章

1 汝なんぢ等らのうち互たがひに事ことあるとき、之これを聖󠄃徒せいとの前󠄃まへに訴うったへずして正たゞしからぬ者ものの前󠄃まへに訴うったふることを敢あへてする者ものあらんや。 2 汝なんぢら知しらぬか、聖󠄃徒せいとは世よを審さばくべき者ものなるを。世よもし汝なんぢらに審さばかれんには、汝なんぢら最いと小ちひさき事ことを審さばくに足たらぬ者ものならんや。 3 なんぢら知しらぬか、我われらは御使󠄃みつかひを審さばくべき者ものなるを、况ましてこの世よの事ことをや。 4 然しかる[*]に汝なんぢら審さばくべき此この世よの事ことのあるとき、敎會けうくわいにて輕かろしむる所󠄃ところの者ものを審判󠄄さばきの座ざに坐すわらしむるか。[*或は「さらば……すわらしめよ」と譯す。] 5 わが斯かく言いふは汝なんぢらを辱はづかしめんとてなり。汝なんぢ等らのうちに兄弟きゃうだいの間うちのことを審さばき得うる智かしこきもの一人ひとりだになく、 6 兄弟きゃうだいは兄弟きゃうだいを、而しかも不ふ信者しんじゃの前󠄃まへに訴うったふるか。 7 互たがひに相あい訴うったふるは旣󠄁すでに當まさしく汝なんぢらの失態しったいなり。何なにゆゑ寧むしろ不義ふぎを受うけぬか、何なにゆゑ寧むしろ欺あざむかれぬか。
 339㌻ 
8 然しかるに汝なんぢら不義ふぎをなし、詐欺あざむきをなし、兄弟きゃうだいにも之これを爲なす。 9 汝なんぢら知しらぬか、正たゞしからぬ者ものの神かみの國くにを嗣つぐことなきを。自みづから欺あざむくな、淫行いんかうのもの、偶像󠄃ぐうざうを拜をがむもの、姦淫かんいんをなすもの、男娼だんしゃうとなるもの、男色なんしょくを行おこなふ者もの、 10 盜ぬすみするもの、貪欲どんよくのもの、酒さけに醉ゑふもの、罵のゝしるもの、奪うばふ者ものなどは、みな神かみの國くにを嗣つぐことなきなり。 11 汝なんぢ等らのうち曩さきには斯かくのごとき者ものありしかど、主しゅイエス・キリストの名なにより、我われらの神かみの御靈みたまによりて、己おのれを洗あらひ、かつ潔󠄄きよめられ、かつ義ぎとせらるることを得えたり。

12 一切すべてのもの我われに可よからざるなし、然されど一切すべてのもの益えきあるにあらず。一切すべてのもの我われに可よからざるなし、然されど我われは何なに物ものにも支󠄂配󠄃しはいせられず、 13 食󠄃物しょくもつは腹はらのため、腹はらは食󠄃物しょくもつのためなり。然されど神かみは之これをも彼かれをも亡ほろぼし給たまはん。身みは淫行いんかうをなさん爲ためにあらず、主しゅの爲ためなり、主しゅはまた身みの爲ためなり。 14 神かみは旣󠄁すでに主しゅを甦よみがへらせ給たまへり、又󠄂またその能力ちからをもて我等われらをも甦よみがへらせ給たまはん。〘246㌻〙 15 汝なんぢらの身みはキリストの肢體したいなるを知しらぬか、然さらばキリストの肢體したいをとりて遊󠄃女あそびめの肢體したいとなすべきか、決けっして然しかすべからず。 16 遊󠄃女あそびめにつく者ものは彼かれと一ひとつ體からだとなることを知しらぬか『二人ふたりのもの一體いったいとなるべし』と言いひ給たまへり。 17 主しゅにつく者ものは之これと一ひとつ靈れいとなるなり。 18 淫行いんかうを避󠄃さけよ、人ひとのをかす罪つみはみな身みの外ほかにあり、されど淫行いんかうをなす者ものは己おのが身みを犯をかすなり。 19 汝なんぢらの身みは、その內うちにある、神かみより受うけたる聖󠄃せい靈れいの宮みやにして、汝なんぢらは己おのれの者ものにあらざるを知しらぬか。 20 汝なんぢらは價あたひをもて買かはれたる者ものなり、然さらばその身みをもて神かみの榮光えいくわうを顯あらはせ。
 340㌻ 

第7章

1 汝なんぢらが我われに書かきおくりし事ことに就つきては、男をとこの女をんなに觸ふれぬを善よしとす。 2 然されど淫行いんかうを免まぬかれんために、男をとこはおのおの其その妻つまをもち、女をんなはおのおの其その夫をっとを有󠄃もつべし。 3 夫をっとはその分󠄃ぶんを妻つまに盡つくし、妻つまもまた夫をっとに然しかすべし。 4 妻つまは己おのが身みを支󠄂配󠄃しはいする權けんをもたず、之これを持もつ者ものは夫それなり。斯かくのごとく夫をっとも己おのが身みを支󠄂配󠄃しはいする權けんを有󠄃もたず、之これを有󠄃もつ者ものは妻つまなり。 5 相あひ共ともに拒󠄃こばむな、ただ祈いのりに身みを委ゆだぬるため合意がふいにて暫しばらく相あひ別わかれ、後のちまた偕ともになるは善よし。これ汝なんぢらが情󠄃じゃうの禁きんじがたきに乘じょうじてサタンの誘いざなふことなからん爲ためなり。 6 されど我わが斯かくいふは命めいずるにあらず、許ゆるすなり。 7 わが欲ほっする所󠄃ところは、すべての人ひとの我わが如ごとくならん事ことなり。然されど神かみより各自おのおのおのが賜物たまものを受うく、此これは此これのごとく、彼かれは彼かれのごとし。

8 我われは婚姻こんいんせぬ者ものおよび寡婦󠄃やもめに言いふ。もし我わが如ごとくにして居をらば彼かれ等らのために善よし。 9 もし自みづから制せいすること能あたはずば婚姻こんいんすべし、婚姻こんいんするは胸むねの燃もゆるよりも勝󠄃まさればなり。 10 われ婚姻こんいんしたる者ものに命めいず(命めいずる者ものは我われにあらず主しゅなり)妻つまは夫をっとと別わかるべからず。 11 もし別わかるる事ことあらば、嫁とつがずして居をるか、又󠄂または夫をっとと和やはらげ。夫をっともまた妻つまを去さるべからず。 12 その外ほかの人ひとに我われいふ(主しゅの言いひ給たまふにあらず)もし或ある兄弟きゃうだいに不ふ信者しんじゃなる妻つまありて偕ともに居をることを可よしとせば、之これを去さるな。 13 また女をんなに不ふ信者しんじゃなる夫をっとありて偕ともに居をることを可よしとせば、夫をっとを去さるな。 14 そは不ふ信者しんじゃなる夫をっとは妻つまによりて潔󠄄きよくなり、不ふ信者しんじゃなる妻つまは夫をっとによりて潔󠄄きよくなりたればなり。然さなくば汝なんぢらの子供こどもは潔󠄄きよからず、されど今いまは潔󠄄きよき者ものなり。 15 不ふ信者しんじゃみづから離はなれ去さらば、その離はなるるに任まかせよ。斯かくのごとき事ことあらば、兄弟きゃうだいまたは姉妹しまい、もはや繋つながるる所󠄃ところなし。神かみの汝なんぢらを召めし給たまへるは平󠄃和へいわを得えさせん爲ためなり。〘247㌻〙 16 妻つまよ、汝なんぢいかで夫をっとを救すくひ得うるや否いなやを知しらん。夫をっとよ、汝なんぢいかで妻つまを救すくひ得うるや否いなやを知しらん。
 341㌻ 
17 唯たゞおのおの主しゅの分󠄃わかち賜たまふところ、神かみの召めし給たまふところに循したがひて步あゆむべし。凡すべての敎會けうくわいに我わが命めいずるは斯かくのごとし。 18 割󠄅禮かつれいありて召めされし者ものあらんか、その人ひと、割󠄅禮かつれいを廢すつべからず。割󠄅禮かつれいなくして召めされし者ものあらんか、その人ひと、割󠄅禮かつれいを受うくべからず。 19 割󠄅禮かつれいを受うくるも受うけぬも數󠄄かぞふるに足たらず、ただ貴たふときは神かみの誡命いましめを守まもることなり。 20 各人おのおのその召めされし時ときの狀さまに止とゞまるべし。 21 なんぢ奴隷どれいにて召めされたるか、之これを思おもひ煩わづらふな(もし釋ゆるさるることを得えばゆるされよ) 22 召めされて主しゅにある奴隷どれいは、主しゅにつける自主じしゅの人ひとなり。斯かくのごとく自主じしゅにして召めされたる者ものは、キリストの奴隷どれいなり。 23 汝なんぢらは價あたひをもて買かはれたる者ものなり。人ひとの奴隷どれいとなるな。 24 兄弟きゃうだいよ、おのおの召めされし時ときの狀さまに止とゞまりて神かみと偕ともに居をるべし。

25 處女をとめのことに就つきては主しゅの命めいを受うけず、然されど主しゅの憐憫あはれみによりて忠實ちゅうじつの者ものとなりたれば、我わが意見いけんを吿つぐべし。 26 われ思おもふに、目前󠄃まのあたりの患難なやみのためには、人ひとその在あるが隨まゝにて止とゞまるぞ善よき。 27 なんぢ妻つまに繋つながるる者ものなるか、釋とくことを求もとむな。妻つまに繋つながれぬ者ものなるか、妻つまを求もとむな。 28 たとひ妻つまを娶めとるとも罪つみを犯をかすにはあらず。處女をとめもし嫁とつぐとも罪つみを犯をかすにあらず。然されど斯かゝる者ものはその身み、苦難くるしみに遭󠄃あはん、我われなんぢらを苦難くるしみに遭󠄃あはすに忍󠄄しのびず。 29 兄弟きゃうだいよ、われ之これを言いはん、時ときは縮ちゞまれり。されば此これよりのち妻つまを有󠄃もてる者ものは有󠄃もたぬが如ごとく、 30 泣なく者ものは泣なかぬが如ごとく、喜よろこぶ者ものは喜よろこばぬが如ごとく、買かふ者ものは有󠄃もたぬが如ごとく、 31 世よを用もちふる者ものは用もちひ盡つくさぬが如ごとくすべし。此この世よの狀態ありさまは過󠄃すぎ往󠄃ゆくべければなり。 32 わが欲ほっする所󠄃ところは汝なんぢらが思おもひ煩わづらはざらん事ことなり。婚姻こんいんせぬ者ものは如何いかにして主しゅを喜よろこばせんと主しゅのことを慮おもんぱかり、
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33 婚姻こんいんせし者ものは如何いかにして妻つまを喜よろこばせんと世よのことを慮おもんぱかりて心こゝろを分󠄃わかつなり。 34 婚姻こんいんせぬ女をんなと處女をとめとは身みも靈れいも潔󠄄きよくならんために主しゅのことを慮おもんぱかり、婚姻こんいんせし者ものは如何いかにしてその夫をっとを喜よろこばせんと世よのことを慮おもんぱかるなり。 35 わが之これを言いふは汝なんぢらを益えきせん爲ためにして汝なんぢらに絆ほだしを置おかんとするにあらず、寧むしろ汝なんぢらを宣よろしきに適󠄄かなはせ、餘念よねんなく只管ひたすら、主しゅに事つかへしめんとてなり。 36 人ひともし處女をとめたる己おのが娘むすめに對たいすること宣よろしきに適󠄄かなはずと思おもひ、年としの頃ころもまた過󠄃すぎんとし、かつ然しかせざるを得えずば、心こゝろのままに行おこなふべし。これ罪つみを犯をかすにあらず、婚姻こんいんせさすべし。〘248㌻〙 37 されど人ひともし其その心こゝろを堅かたくし、止やむを得えざる事こともなく、又󠄂またおのが心こゝろの隨ままになすを得えて、その娘むすめを留とゞめ置おかんと心こゝろのうちに定さだめたらば、然しかするは善よきなり。 38 されば其その娘むすめを嫁とつがする者ものの行爲おこなひは善よし。されど之これを嫁とつがせぬ者ものの行爲おこなひは更󠄃さらに善よし。 39 妻つまは夫をっとの生いける間うちは繋つながるるなり。然されど夫をっともし死しなば、欲ほっするままに嫁とつぐ自由じいうを得うべし、ただ主しゅにある者ものにのみ適󠄄ゆくべし。 40 然されど我わが意見いけんにては、その儘まゝに止とゞまらば殊ことに幸福さいはひなり。我われもまた神かみの御靈みたまに感かんじたりと思おもふ。

第8章

1 偶像󠄃ぐうざうの供物そなへものに就つきては我等われらみな知識ちしきあることを知しる。知識ちしきは人ひとを誇ほこらしめ、愛あいは德とくを建󠄄たつ。 2 もし人ひとみづから知しれりと思おもはば、知しるべき程󠄃ほどの事ことをも知しらぬなり。 3 然されど人ひともし神かみを愛あいせば、その人ひと、神かみに知しられたるなり。 4 偶像󠄃ぐうざうの供物そなへものを食󠄃くらふことに就つきては、我われら偶像󠄃ぐうざうの世よになき者ものなるを知しり、また唯一ゆゐいつの神かみの外ほかには神かみなきを知しる。 5 神かみと稱󠄄となふるもの、或あるひは天てんに或あるひは地ちにありて、多おほくの神かみ、おほくの主しゅあるが如ごとくなれど、 6 我われらには父󠄃ちちなる唯一ゆゐいつの神かみあるのみ、萬物ばんもつこれより出いで、我われらも亦またこれに歸きす。また唯一ゆゐいつの主しゅイエス・キリストあるのみ、萬物ばんもつこれに由より、我われらも亦またこれに由よれり。
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7 然されど人ひとみな此この知識ちしきあるにあらず、或ある人ひとは今いまもなほ偶像󠄃ぐうざうに慣なれ、偶像󠄃ぐうざうの獻物さゝげものとして食󠄃しょくする故ゆゑに、その良心りゃうしんよわくして汚けがさるるなり。 8 我われらを神かみの前󠄃まへに立たたしむるものは食󠄃物しょくもつにあらず、されば食󠄃しょくするも益えきなく、食󠄃しょくせざるも損そんなし。 9 然されど心こゝろして汝なんぢらの有󠄃もてる此この自由じいうを弱󠄃よわき者ものの躓物つまづきとすな。 10 人ひともし知識ちしきある汝なんぢが偶像󠄃ぐうざうの宮みやにて食󠄃事しょくじするを見みんに、その人ひと弱󠄃よわきときは良心りゃうしんそそのかされて偶像󠄃ぐうざうの獻物ささげものを食󠄃しょくせざらんや。 11 然さらばキリストの代かわりて死しに給たまひし弱󠄃よわき兄弟きゃうだいは、汝なんぢの知識ちしきによりて亡ほろぶべし。 12 斯かくのごとく汝なんぢら兄弟きゃうだいに對たいして罪つみを犯をかし、その弱󠄃よわき良心りゃうしんを傷いためしむるは、キリストに對たいして罪つみを犯をかすなり。 13 この故ゆゑに、もし食󠄃物しょくもつわが兄弟きゃうだいを躓つまづかせんには、兄弟きゃうだいを躓つまづかせぬ爲ために、我われは何時いつまでも肉󠄁にくを食󠄃くらはじ。

第9章

1 我われは自主じしゅの者ものならずや、使󠄃徒しとにあらずや、我われらの主しゅイエスを見みしにあらずや、汝なんぢらは主しゅに在ありて我わが業わざならずや。 2 われ他ほかの人ひとには使󠄃徒しとならずとも汝なんぢらには使󠄃徒しとなり。汝なんぢらは主しゅにありて我わが使󠄃徒しとたる職つとめの印いんなればなり。 3 われを審さばく者ものに對たいする我わが辯明べんめいは斯かくのごとし。 4 我われらは飮食󠄃いんしょくする權けんなきか。〘249㌻〙 5 我われらは他ほかの使󠄃徒しとたち、主しゅの兄弟きゃうだいたち及およびケパのごとく姉妹しまいたる妻つまを携たづさふる權けんなきか。 6 ただ我われとバルナバとのみ工わざを止やむる權けんなきか。 7 誰たれか己おのれの財ざいにて兵卒へいそつを務つとむる者ものあらんや。誰たれか葡萄畑ぶだうばたけを作つくりてその果みを食󠄃くはぬ者ものあらんや。誰たれか群むれを牧かひてその乳󠄃ちゝを飮のまぬ者ものあらんや。 8 我われただ人ひとの思おもひにのみ由よりて此これ等らのことを言いはんや、律法おきても亦またかく言いふにあらずや。 9 モーセの律法おきてに『穀物こくもつを碾こなす牛うしには口籠くつごを繋かくべからず』と錄しるしたり。神かみは牛うしのために慮おもんぱかり給たまへるか、
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10 また專もっぱら我等われらのために之これを言いひ給たまひしか、然しかり、我われらのために錄しるされたり。それ耕󠄃たがやす者ものは望󠄇のぞみをもて耕󠄃たがやし、穀物こくもつをこなす者ものは之これに與あづかる望󠄇のぞみをもて碾こなすべきなり。 11 もし我われら靈れいの物ものを汝なんぢらに蒔まきしならば、汝なんぢらの肉󠄁にくの物ものを刈かり取とるは過󠄃分󠄃くわぶんならんや。 12 もし他ほかの人ひとなんぢらに對たいしてこの權けんあらんには、况まして我われらをや。然されど我等われらはこの權けんを用もちひざりき。唯たゞキリストの福音󠄃ふくいんに障碍さまたげなきやうに一切すべてのことを忍󠄄しのぶなり。 13 なんぢら知しらぬか、聖󠄃せいなる事ことを務つとむる者ものは宮みやのものを食󠄃しょくし、祭壇さいだんに事つかふる者ものは祭壇さいだんのものに與あづかるを。 14 斯かくのごとく主しゅもまた福音󠄃ふくいんを宣傳のべつたふる者ものの福音󠄃ふくいんによりて生活すぎはひすべきことを定さだめ給たまへり。 15 されど我われは此これ等らのことを一ひとつだに用もちひし事ことなし、また自みづから斯かく爲せられんために之これを書かき贈おくるにあらず、斯かくせられんよりは寧むしろ死しぬるを善よしとすればなり。誰たれもわが誇ほこりを空󠄃むなしく爲せざるべし。 16 われ福音󠄃ふくいんを宣傳のべつたふとも誇ほこるべき所󠄃ところなし、已やむを得えざるなり。もし福音󠄃ふくいんを宣傳のべつたへずば、我われは禍害󠄅わざはひなるかな。 17 若もしわれ心こゝろより之これをなさば報むくいを得えん、たとひ心こゝろならずとも我われはその務つとめを委ゆだねられたり。 18 然さらば我わが報むくいは何なにぞ、福音󠄃ふくいんを宣傳のべつたふるに、人ひとをして費つひえなく福音󠄃ふくいんを得えしめ、而しかも福音󠄃ふくいんによりて我わが有󠄃もてる權けんを用もちひ盡つくさぬこと是これなり。 19 われ凡すべての人ひとに對たいして自主じしゅの者ものなれど、更󠄃さらに多おほくの人ひとを得えんために、自みづから凡すべての人ひとの奴隷どれいとなれり。 20 我われユダヤ人びとにはユダヤ人びとの如ごとくなれり、これユダヤ人びとを得えんが爲ためなり。律法おきての下したにある者ものには――律法おきての下したに我われはあらねど――律法おきての下したにある者ものの如ごとくなれり。これ律法おきての下したにある者ものを得えんが爲ためなり。 21 律法おきてなき者ものには――われ神かみに向むかひて律法おきてなきにあらず、反かへつてキリストの律法おきての下したにあれど――律法おきてなき者ものの如ごとくなれり、これ律法おきてなき者ものを得えんがためなり。
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22 弱󠄃よわき者ものには弱󠄃よわき者ものとなれり、これ弱󠄃よわき者ものを得えんためなり。我われすべての人ひとには凡すべての人ひとの狀さまに從したがへり、これ如何いかにもして幾許いくばくかの人ひとを救すくはんためなり。 23 われ福音󠄃ふくいんのために凡すべての事ことをなす、これ我われも共ともに福音󠄃ふくいんに與あづからん爲ためなり。〘250㌻〙 24 なんぢら知しらぬか、馳場はせばを走はしる者ものはみな走はしれども、褒美はうびを得うる者ものの、ただ一人ひとりなるを。汝なんぢらも得えんために斯かく走はしれ。 25 すべて勝󠄃かちを爭あらそふ者ものは何事なにごとをも節󠄄せっし愼つゝしむ、彼かれらは朽くつる冠冕󠄅かんむりを得えんが爲ためなれど、我われらは朽くちぬ冠冕󠄅かんむりを得えんがために之これをなすなり。 26 斯かく我わが走はしるは目標めあてなきが如ごときにあらず、我わが拳󠄃鬪けんとうするは空󠄃くうを擊うつが如ごときにあらず。 27 わが體からだを打うち擲たゝきて之これを服󠄃從ふくじゅうせしむ。恐おそらくは他人たにんに宣傳のべつたへて自みづから棄すてらるる事ことあらん。

第10章

1 兄弟きゃうだいよ、我われなんぢらが之これを知しらぬを好このまず。即すなはち我われらの先祖せんぞはみな雲くもの下したにあり、みな海うみをとほり、 2 みな雲くもと海うみとにてバプテスマを受うけてモーセにつけり。 3 而しかして皆みなおなじく靈れいなる食󠄃物くひものを食󠄃しょくし、 4 みな同おなじく靈れいなる飮物のみものを飮のめり。これ彼かれらに隨したがひし靈れいなる岩いはより飮のみたるなり、その岩いはは即すなはちキリストなりき。 5 然されど彼かれらのうち多おほくは神かみの御意みこゝろに適󠄄かなはず、荒野あらのにて亡ほろぼされたり。 6 此これ等らのことは我われらの鑑かゞみにして、彼かれらが貪むさぼりし如ごとく惡あくを貪むさぼらざらん爲ためなり。 7 彼かれらの中うちの或ある者ものに效ならひて偶像󠄃ぐうざうを拜はいする者ものとなるな、即すなはち『民たみは坐ざして飮食󠄃のみくひし立たちて戯たはむる』と錄しるされたり。 8 又󠄂またかれらの中うちの或ある者ものに效ならひて我われら姦淫かんいんすべからず、姦淫かんいんを行おこなひしもの一日いちにちに二萬にまん三さん千ぜん人にん死しにたり。 9 また彼かれ等らのうちの或ある者ものに效ならひて我われら主しゅを試こゝろむべからず、主しゅを試こゝろみしもの、蛇へびに亡ほろぼされたり、
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10 又󠄂またかれらの中うちの或ある者ものに效ならひて呟つぶやくな、呟つぶやきしもの、亡ほろぼす者ものに亡ほろぼされたり、 11 彼かれらが遭󠄃あへる此これ等らのことは鑑かゞみとなれり、かつ末すゑの世よに遭󠄃あへる我われらの訓戒くんかいのために錄しるされたり。 12 然さらば自みづから立たてりと思おもふ者ものは倒たふれぬやうに心こゝろせよ。 13 汝なんぢらが遭󠄃あひし試煉こゝろみは人ひとの常つねならぬはなし。神かみは眞󠄃實まことなれば、汝なんぢらを耐たへ忍󠄄しのぶこと能あたはぬほどの試煉こゝろみに遭󠄃あはせ給たまはず。汝なんぢらが試煉こゝろみを耐たへ忍󠄄しのぶことを得えんために、之これと共ともに遁󠄅のがるべき道󠄃みちを備そなへ給たまはん。

14 さらば我わが愛あいする者ものよ、偶像󠄃ぐうざうを拜はいすることを避󠄃さけよ。 15 われ慧󠄄さとき者ものに言いふごとく言いはん、我わが言いふところを判󠄄斷はんだんせよ。 16 我われらが祝いはふところの祝いはひの酒杯さかづきは、これキリストの血ちに與あづかるにあらずや。我われらが擘さく所󠄃ところのパンは、これキリストの體からだに與あづかるにあらずや。 17 パンは一ひとつなれば、多おほくの我われらも一體いったいなり、皆みなともに一ひとつのパンに與あづかるに因よる。 18 肉󠄁にくによるイスラエルを視みよ、供物そなへものを食󠄃くらふ者ものは祭壇さいだんに與あづかるにあらずや。 19 然さらば我わが言いふところは何なにぞ、偶像󠄃ぐうざうの供物そなへものはあるものと言いふか、また偶像󠄃ぐうざうはあるものと言いふか。〘251㌻〙 20 否いな、我われは言いふ、異邦󠄆人いはうじんの供そなふる物ものは神かみに供そなふるにあらず、惡鬼あくきに供そなふるなりと。我われなんぢらが惡鬼あくきと交󠄄まじはるを欲ほっせず。 21 なんぢら主しゅの酒杯さかづきと惡鬼あくきの酒杯さかづきとを兼󠄄かね飮のむこと能あたはず。主しゅの食󠄃卓しょくたくと惡鬼あくきの食󠄃卓しょくたくとに兼󠄄かね與あづかること能あたはず。 22 われら主しゅの妬ねたみを惹起󠄃ひきおこさんとするか、我われらは主しゅよりも强つよき者ものならんや。

23 一切すべてのもの可よからざるなし、然されど一切すべてのもの益えきあるにあらず、一切すべてのもの可よからざるなし、然されど一切すべてのもの德とくを建󠄄たつるにあらず。 24 各人おのおのおのが益えきを求もとむることなく、人ひとの益えきを求もとめよ。 25 すべて市場いちばにて賣うる物ものは良心りゃうしんのために何なにをも問とはずして食󠄃しょくせよ。 26 そは地ちと之これに滿みつる物ものとは主しゅの物ものなればなり。 27 もし不ふ信者しんじゃに招まねかれて往󠄃ゆかんとせば、凡すべて汝なんぢらの前󠄃まへに置おく物ものを良心りゃうしんのために何なにをも問とはずして食󠄃しょくせよ。
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28 人ひともし此これは犧牲いけにへにせし肉󠄁にくなりと言いはば吿つげし者もののため、また良心りゃうしんのために食󠄃しょくすな。 29 良心りゃうしんとは汝なんぢの良心りゃうしんにあらず、かの人ひとの良心りゃうしんを言いふなり。何なんぞわが自由じいうを他ほかの人ひとの良心りゃうしんによりて審さばかるる事ことをせん。 30 もし感謝󠄃かんしゃして食󠄃しょくする事ことをせば、何なんぞわが感謝󠄃かんしゃする所󠄃ところのものに就つきて譏󠄃そしらるる事ことをせん。 31 さらば食󠄃くらふにも飮のむにも何事なにごとをなすにも、凡すべて神かみの榮光えいくわうを顯あらはすやうに爲せよ。 32 ユダヤ人びとにもギリシヤ人びとにも、また神かみの敎會けうくわいにも躓物つまづきとなるな。 33 我われも凡すべての事ことを、すべての人ひとの心こゝろに適󠄄かなふやうに力つとめ、人々ひとびとの救すくはれんために、己おのれの益えきを求もとめずして多おほくの人ひとの益えきを求もとむるなり。

第11章

1 我わがキリストに效ならふ者ものなる如ごとく、なんぢら我われに效ならふ者ものとなれ。

2 汝なんぢらは凡すべての事ことにつきて我われを憶おぼえ、且かつわが傳つたへし所󠄃ところをそのまま守まもるに因よりて、我われなんぢらを譽ほむ。 3 されど我われなんぢらが之これを知しらんことを願ねがふ。凡すべての男をとこの頭かしらはキリストなり、女をんなの頭かしらは男をとこなり、キリストの頭かしらは神かみなり。 4 すべて男をとこは祈いのりをなし預言よげんをなすとき、頭かしらに物ものを被かぶるは、其その頭かしらを辱はづかしむるなり。 5 すべて女をんなは祈いのりをなし預言よげんをなすとき、頭かしらに物ものを被かぶらぬは、其その頭かしらを辱はづかしむるなり。これ薙髮ていはつと異ことなる事ことなし。 6 女をんなもし物ものを被かぶらずば、髮かみをも剪きるべし。然されど髮かみを剪きり、或あるひは薙そることを女をんなの恥はぢとせば物ものを被かぶるべし。 7 男をとこは神かみの像󠄃かたち、神かみの榮光えいくわうなれば、頭かしらに物ものを被かぶるべきにあらず、然されど女をんなは男をとこの光榮くわうえいなり。 8 男をとこは女をんなより出いでずして、女をんなは男をとこより出いで、 9 男をとこは女をんなのために造󠄃つくられずして、女をんなは男をとこのために造󠄃つくられたればなり。 10 この故ゆゑに女をんなは御使󠄃みつかひたちの故ゆゑによりて頭かしらに權けんの徽しるしを戴いたゞくべきなり。〘252㌻〙
 348㌻ 
11 されど主しゅに在ありては、女をんなは男をとこに由よらざるなく、男をとこは女をんなに由よらざるなし。 12 女をんなの男をとこより出いでしごとく、男をとこは女をんなによりて出いづ。而しかして萬物ばんもつはみな神かみより出いづるなり。 13 汝なんぢ等らみづから判󠄄斷はんだんせよ、女をんなの物ものを被かぶらずして神かみに祈いのるは宣よろしき事ことなるか。 14 なんぢら自然しぜんに知しるにあらずや、男をとこもし長ながき髮かみの毛けあらば、恥はづべきことにして、 15 女をんなもし長ながき髮かみの毛けあらば、その光榮くわうえいなるを。それ女をんなの髮かみの毛けは、被物かぶりものとして賜たまはりたるなり。 16 假令たとひこれを坑辯あらがふ者ものありとも斯かくのごとき例れいは我われらにも神かみの諸しょ敎會けうくわいにもある事ことなし。

17 我われこれらの事ことを命めいじて汝なんぢらを譽ほめず。汝なんぢらの集あつまること、益えきを受うけずして損そんを招まねけばなり。 18 先まづ汝なんぢらが敎會けうくわいに集あつまるとき分󠄃爭あらそひありと聞きく、われ略ほぼこれを信しんず。 19 それは汝なんぢ等らのうちに是ぜとせらるべき者ものの現あらはれんために[*]黨派󠄄たうはも必かならず起󠄃おこるべければなり。[*或は「異端」と譯す。] 20 なんぢら一處ひとつところに集あつまるとき主しゅの晩餐󠄃ばんさんを食󠄃しょくすること能あたはず。 21 食󠄃しょくする時とき、おのおの人ひとに先さきだちて己おのれの晩餐󠄃ばんさんを食󠄃しょくするにより、饑󠄃ううる者ものあり、醉ゑひ飽󠄄あける者ものあればなり。 22 汝なんぢら飮食󠄃のみくひすべき家いへなきか、神かみの敎會けうくわいを輕かろんじ、また乏ともしき者ものを辱はづかしめんとするか、我われなにを言いふべきか、汝なんぢらを譽ほむべきか、之これに就つきては譽ほめぬなり。 23 わが汝なんぢらに傳つたへしことは主しゅより授さづけられたるなり。即すなはち主しゅイエス付わたされ給たまふ夜よ、パンを取とり、 24 祝しくして之これを擘さき、而しかして言いひ給たまふ『これは汝なんぢ等らのための我わが體からだなり。我わが記念きねんとして之これを行おこなへ』 25 夕餐󠄃ゆふげののち酒杯さかづきをも前󠄃さきの如ごとくして言いひたまふ『この酒杯さかづきは我わが血ちによれる新あたらしき契󠄅約けいやくなり。飮のむごとに我わが記念きねんとして之これをおこなへ』 26 汝なんぢ等らこのパンを食󠄃しょくし、この酒杯さかづきを飮のむごとに、主しゅの死しを示しめして其その來きたりたまふ時ときにまで及およぶなり。 27 然されば宣よろしきに適󠄄かなはずして主しゅのパンを食󠄃しょくし、主しゅの酒杯さかづきを飮のむ者ものは、主しゅの體からだと血ちとを犯をかすなり。 28 人ひとみづから省かへりみて後のち、そのパンを食󠄃しょくし、その酒杯さかづきを飮のむべし。
 349㌻ 
29 御體みからだを辨わきまへずして飮食󠄃のみくひする者ものは、その飮食󠄃のみくひによりて自みづから審判󠄄さばきを招まねくべければなり。 30 この故ゆゑに汝なんぢ等らのうちに弱󠄃よわきもの、病やめるもの多おほくあり、また眠ねむりに就つきたる者ものも少すくなからず。 31 我等われらもし自みづから己おのれを辨わきまへなば審さばかるる事ことなからん。 32 されど審さばかるる事ことのあるは、我われらを世よの人ひととともに罪つみに定さだめじとて主しゅの懲こらしめ給たまふなり。 33 この故ゆゑに、わが兄弟きゃうだいよ、食󠄃しょくせんとて集あつまるときは互たがひに待まち合あはせよ。 34 もし飢󠄄ううる者ものあらば、汝なんぢらの集會あつまりの審判󠄄さばきを招まねくこと無なからん爲ために己おのが家いへにて食󠄃しょくすべし。〘253㌻〙 35 その他ほかのことは我われいたらん時ときこれを定さだめん。

第12章

1 兄弟きゃうだいよ、靈れいの賜物たまものに就つきては、我われなんぢらが知しらぬを好このまず。 2 なんぢら異邦󠄆人いはうじんなりしとき、誘いざなはるるままに物ものを言いはぬ偶像󠄃ぐうざうのもとに導󠄃みちびき往󠄃ゆかれしは、汝なんぢらの知しる所󠄃ところなり。 3 然されば我われなんぢらに示しめさん、神かみの御靈みたまに感かんじて語かたる者ものは、誰たれも『イエスは詛のろはるべき者ものなり』と言いはず、また聖󠄃せい靈れいに感かんぜざれば、誰たれも『イエスは主しゅなり』と言いふ能あたはず。 4 賜物たまものは殊ことなれども、御靈みたまは同おなじ。 5 務つとめは殊ことなれども、主しゅは同おなじ。 6 活動はたらきは殊ことなれども、凡すべての人ひとのうちに凡すべての活動はたらきを爲なしたまふ神かみは同おなじ。 7 御靈みたまの顯現あらはれをおのおのに賜たまひたるは、益えきを得えさせんためなり。 8 或ある人ひとは御靈みたまによりて智慧󠄄ちゑの言ことばを賜たまはり、或ある人ひとは同おなじ御靈みたまによりて知識ちしきの言ことば、 9 或ある人ひとは同おなじ御靈みたまによりて信仰しんかう、ある人ひとは一ひとつ御靈みたまによりて病やまひを醫いやす賜物たまもの、 10 或ある人ひとは異能ちからある業わざ、ある人ひとは預言よげん、ある人ひとは靈れいを辨わきまへ、或ある人ひとは異言いげんを言いひ、或ある人ひとは異言いげんを釋とく能力ちからを賜たまはる。 11 凡すべて此これ等らのことは同おなじ一ひとつの御靈みたまの活動はたらきにして、御靈みたまその心こゝろに隨したがひて各人おのおのに分󠄃わけ與あたへたまふなり。
 350㌻ 

12 體からだは一ひとつにして肢えだは多おほし、體からだの肢えだは多おほくとも一ひとつの體からだなるが如ごとく、キリストも亦また然しかり。 13 我われらはユダヤ人びと・ギリシヤ人びと・奴隷どれい・自主じしゅの別わかちなく、一體いったいとならん爲ために、みな一ひとつ御靈みたまにてバプテスマを受うけたり。而しかしてみな一ひとつ御靈みたまを飮のめり。 14 體からだは一ひとつ肢えだより成󠄃ならず、多おほくの肢えだより成󠄃なるなり。 15 足あしもし『我われは手てにあらぬ故ゆゑに體からだに屬ぞくせず』と云いふとも、之これによりて體からだに屬ぞくせぬにあらず。 16 耳みゝもし『われは眼めにあらぬ故ゆゑに體からだに屬ぞくせず』と云いふとも、之これによりて體からだに屬ぞくせぬにあらず。 17 もし全󠄃身ぜんしん眼めならば、聽きくところ何いづれか。もし全󠄃身ぜんしん聽きく所󠄃ところならば、臭かぐところ何いづれか。 18 げに神かみは御意みこゝろのままに、肢えだをおのおの體からだに置おき給たまへり。 19 若もしみな一ひとつ肢えだならば、體からだは何いづれか。 20 げに肢えだは多おほくあれど、體からだは一ひとつなり。 21 眼めは手てに對むかひて『われ汝なんぢを要󠄃えうせず』と言いひ、頭かしらは足あしに對むかひて『われ汝なんぢを要󠄃えうせず』と言いふこと能あたはず。 22 否いな、からだの中うちにて最もっとも弱󠄃よわきしと見みゆる肢えだは、反かへつて必要󠄃ひつえうなり。 23 體からだのうちにて尊󠄅たふとからずと思おもはるる所󠄃ところに、物ものを纒󠄂まとひて殊ことに之これを尊󠄅たふとぶ。斯かく我われらの美うるわしからぬ所󠄃ところは、一層ひときはすぐれて美うるわしくすれども、 24 美うるわしき所󠄃ところには、物ものを纒󠄂まとふの要󠄃えうなし。神かみは劣おとれる所󠄃ところに殊ことに尊󠄅榮たふときを加くはへて人ひとの體からだを調󠄃和てうわしたまへり。 25 これ體からだのうちに分󠄃爭あらそひなく、肢々えだえだ一致いっちして、互たがひに相あひ顧󠄃かへりみんためなり。〘254㌻〙 26 もし一ひとつの肢えだ苦くるしまば、もろもろの肢えだともに苦くるしみ、一ひとつの肢えだ尊󠄅たふとばれなば、もろもろの肢えだともに喜よろこぶなり。 27 乃すなはち汝なんぢらはキリストの體からだにして各自おのおのその肢えだなり。 28 神かみは第一だいいちに使󠄃徒しと、第二だいにに預言者よげんしゃ、第三だいさんに敎師けうし、その次󠄄つぎに異能ちからある業わざ、次󠄄つぎに病やまひを醫いやす賜物たまもの、補助たすけをなす者もの、治をさむる者もの、異言いげんなどを敎會けうくわいに置おきたまへり。 29 是これみな使󠄃徒しとならんや、みな預言者よげんしゃならんや、みな敎師けうしならんや、みな異能ちからある業わざを行おこなふ者ものならんや。
 351㌻ 
30 みな病やまひを醫いやす賜物たまものを有󠄃もてる者ものならんや、みな異言いげんを語かたる者ものならんや、みな異言いげんを釋とく者ものならんや。 31 なんぢら優すぐれたる賜物たまものを慕したへ、而しかして我われさらに善よき道󠄃みちを示しめさん。

第13章

1 たとひ我われもろもろの國人くにびとの言ことばおよび御使󠄃みつかひの言ことばを語かたるとも、愛あいなくば鳴なる鐘かねや響ひびく鐃鈸ねうはちの如ごとし。 2 假令たとひわれ預言よげんする能力ちからあり、又󠄂またすべての奧義おくぎと凡すべての知識ちしきとに達󠄃たっし、また山やまを移うつすほどの大おほいなる信仰しんかうありとも、愛あいなくば數󠄄かぞふるに足らず。 3 たとひ我われわが財產ざいさんをことごとく施ほどこし、又󠄂またわが體からだを燒やかるる爲ために付わたすとも、愛あいなくば我われに益えきなし。 4 愛あいは寛容くわんようにして慈悲じひあり。愛あいは妬ねたまず、愛あいは誇ほこらず、驕たかぶらず、 5 非禮ひれいを行おこなはず、己おのれの利りを求もとめず、憤いきどほらず、人ひとの惡あくを念おもはず、 6 不義ふぎを喜よろこばずして、眞󠄃理まことの喜よろこぶところを喜よろこび、 7 凡おほよそ事こと忍󠄄しのび、おほよそ事こと信しんじ、おほよそ事こと望󠄇のぞみ、おほよそ事こと耐たふるなり。 8 愛あいは長久いつまでも絕たゆることなし。然されど預言よげんは廢すたれ、異言いげんは止やみ、知識ちしきもまた廢すたらん。 9 それ我われらの知しるところ全󠄃まったからず、我われらの預言よげんも全󠄃まったからず。 10 全󠄃まったき者ものの來きたらん時ときは全󠄃まったからぬもの廢すたらん。 11 われ童子わらべの時ときは語かたることも童子わらべのごとく、思おもふことも童子わらべの如ごとく、論ろんずる事ことも童子わらべの如ごとくなりしが、人ひとと成󠄃なりては童子わらべのことを棄すてたり。 12 今いまわれらは鏡かゞみをもて見みるごとく見みるところ朧おぼろなり。然されど、かの時ときには顏かほを對あはせて相あひ見みん。今いまわが知しるところ全󠄃まったからず、然されど、かの時ときには我わが知しられたる如ごとく全󠄃まったく知しるべし。 13 げに信仰しんかうと希望󠄇のぞみと愛あいと此この三みつの者ものは限かぎりなく存のこらん、而しかして其そのうち最もっとも大おほいなるは愛あいなり。

第14章

1 愛あいを追󠄃おひ求もとめよ、また靈れいの賜物たまもの、ことに預言よげんする能力ちからを慕したへ。 2 異言いげんを語かたる者ものは人ひとに語かたるにあらずして神かみに語かたるなり。そは靈れいにて奧義おくぎを語かたるとも、誰たれも悟さとる者ものなければなり。
 352㌻ 
3 されど預言よげんする者ものは人ひとに語かたりて其その德とくを建󠄄たて、勸󠄂すゝめをなし、慰安なぐさめを與あたふるなり。 4 異言いげんを語かたる者ものは己おのれの德とくを建󠄄たて、預言よげんする者ものは敎會けうくわいの德とくを建󠄄たつ。〘255㌻〙 5 われ汝なんぢ等らがみな異言いげんを語かたらんことを欲ほっすれど、殊ことに欲ほっするは預言よげんせん事ことなり。異言いげんを語かたる者もの、もし釋ときて敎會けうくわいの德とくを建󠄄たつるにあらずば、預言よげんする者もののかた勝󠄃まさるなり。 6 然さらば兄弟きゃうだいよ、我われもし汝なんぢらに到いたりて異言いげんをかたり、或あるひは默示もくし、あるいは知識ちしき、あるいは預言よげん、あるいは敎をしへをもて語かたらずば、何なにの益えきかあらん。 7 生命いのちなくして聲こゑを出いだすもの、或あるひは笛ふえ、あるいは立琴たてごと、その音󠄃おともし差別わかちなくば、爭いかで吹ふくところ、彈ひくところの何なにたるを知しらん。 8 ラッパ若もし定さだまりなき音󠄃おとを出いださば、誰たれか戰鬪たゝかひの備そなへをなさん。 9 斯かくのごとく汝なんぢらも舌したをもて明あきらかなる言ことばを出いださずば、爭いかで語かたるところの何なにたるを知しらん、これ汝なんぢ等らただ空󠄃氣くうきに語かたるのみ。 10 世よには國語くにことばの類たぐひおほかれど、一ひとつとして意義いぎあらぬはなし。 11 我われもし國語くにことばの意義いぎを知しらずば、語かたる者ものに對たいして夷人えびすとなり、語かたる者ものも我われに對たいして夷人えびすとならん。 12 然さらば汝なんぢらも靈れいの賜物たまものを慕したふ者ものなれば、敎會けうくわいの德とくを建󠄄たつる目的めあてにて賜物たまものの豐ゆたかならん事ことを求もとめよ。 13 この故ゆゑに異言いげんを語かたる者ものは自みづから釋とき得えんことをも祈いのるべし。 14 我われもし異言いげんをもて祈いのらば、我わが靈れいは祈いのるなれど、我わが心こゝろは果みを結むすばず。 15 然さらば如何いかにすべきか、我われは靈れいをもて祈いのり、また心こゝろをもて祈いのらん。我われは靈れいをもて謳うたひ、また心こゝろをもて謳うたはん。 16 汝なんぢもし然しかせずば靈れいをもて祝しくするとき、凡人ただびとは汝なんぢの語かたることを知しらねば、その感謝󠄃かんしゃに對たいし如何いかにしてアァメンと言いはんや。 17 なんぢの感謝󠄃かんしゃはよし、然されど、その人ひとの德とくを建󠄄たつることなし。 18 我われなんぢら衆すべての者ものよりも多おほく異言いげんを語かたることを神かみに感謝󠄃かんしゃす。 19 然されど我われは敎會けうくわいにて異言いげんをもて一萬いちまん言げんを語かたるよりも、寧むしろ人ひとを敎をしへんために我わが心こゝろをもて五言いつことばを語かたらんことを欲ほっするなり。
 353㌻ 

20 兄弟きゃうだいよ、智慧󠄄ちゑに於おいては子供こどもとなるな、惡あくに於おいては幼兒をさなごとなり、智慧󠄄ちゑに於おいては成󠄃人おとなとなれ。 21 律法おきてに錄しるして『主しゅ、宣給のたまはく、他あだし言ことばの民たみにより、他あだし國人くにびとの口唇くちびるをもて此この民たみに語かたらん、然されど尙なほかれらは我われに聽きかじ』とあり。 22 されば異言いげんは、信者しんじゃの爲ためならで不ふ信者しんじゃのための徴しるしなり。預言よげんは、不ふ信者しんじゃの爲ためならで信者しんじゃのためなり。 23 もし全󠄃ぜん敎會けうくわい一處ひとつところに集あつまれる時とき、みな異言いげんにて語かたらば、凡人ただびとまたは不ふ信者しんじゃいり來きたらんに、汝なんぢらを狂くるへる者ものと言いはざらんや。 24 然されど若もしみな預言よげんせば、不ふ信者しんじゃまたは凡人ただびとの入いりきたるとき、會衆くわいしゅうのために自みづから責せめられ、會衆くわいしゅうのために是非ぜひせられ、 25 その心こゝろの秘密ひみつあらはるる故ゆゑに伏ふして神かみを拜はいし『神かみは實じつに汝なんぢらの中うちに在います』と言いはん。〘256㌻〙

26 兄弟きゃうだいよ、さらば如何いかにすべきか、汝なんぢらの集あつまる時ときはおのおの聖󠄃歌せいかあり、敎をしへあり、默示もくしあり、異言いげんあり、釋とく能力ちからあり、みな德とくを建󠄄たてん爲ためにすべし。 27 もし異言いげんを語かたる者ものあらば、二人ふたり、多おほくとも三人さんにん、順次󠄄じゅんじに語かたりて一人ひとりこれを釋とくべし。 28 もし釋とく者ものなき時ときは敎會けうくわいにては默もくし、而しかして己おのれに語かたり、また神かみに語かたるべし。 29 預言者よげんしゃは二人ふたりもしくは三人さんにんかたり、その他ほかの者ものはこれを辨わきまふべし。 30 もし坐ざしをる、他ほかのもの默示もくしを蒙かうむらば、先さきのもの默もくすべし。 31 汝なんぢらは皆みなすべての人ひとに學まなばせ、勸󠄂すゝめを受うけしめんために一人ひとり一人ひとり、預言よげんすることを得うべければなり。 32 また預言者よげんしゃの靈れいは預言者よげんしゃに制せいせらる。 33 それ神かみは亂みだれの神かみにあらず、平󠄃和へいわの神かみなり。

34 聖󠄃徒せいとの諸しょ敎會けうくわいのするごとく、女をんなは敎會けうくわいにて默もくすべし。彼かれらは語かたることを許ゆるされず、律法おきてに云いへるごとく順したがふべき者ものなり。
 354㌻ 
35 何事なにごとか學まなばんとする事ことあらば、家いへにて己おのが夫をっとに問とふべし、女をんなの敎會けうくわいにて語かたるは恥はづべき事ことなればなり。 36 神かみの言ことばは汝なんぢ等らより出いでしか、また汝なんぢ等らにのみ來きたりしか。

37 人ひともし自己みづからを預言者よげんしゃとし、或あるひは御靈みたまに感かんじたる者ものと思おもはば、わが汝なんぢらに書かきおくる言ことばを主しゅの命めいなりと知しれ。 38 もし知しらずば其その知しらざるに任まかせよ。

39 されば我わが兄弟きゃうだいよ、預言よげんすることを慕したひ、また異言いげんを語かたることを禁きんずな。 40 凡すべての事こと、宣よろしきに適󠄄かなひ、かつ秩序ちつじょを守まもりて行おこなへ。

第15章

1 兄弟きゃうだいよ、曩さきにわが傳つたへし福音󠄃ふくいんを更󠄃さらに復またなんぢらに示しめす。汝なんぢらは之これを受うけ、之これに賴よりて立たちたり。 2 なんぢら徒いたづらに信しんぜずして我わが傳つたへしままを堅かたく守まもらば、この福音󠄃ふくいんに由よりて救すくはれん。 3 わが第一だいいちに汝なんぢらに傳つたへしは、我わが受うけし所󠄃ところにして、キリスト聖󠄃書せいしょに應おうじて我われらの罪つみのために死しに、 4 また葬はうむられ、聖󠄃書せいしょに應おうじて三日みっかめに甦よみがへり、 5 ケパに現あらはれ、後のちに十二じふに弟子でしに現あらはれ給たまひし事ことなり。 6 次󠄄つぎに五ご百ひゃく人にん以上いじゃうの兄弟きゃうだいに同時どうじにあらはれ給たまへり。その中うちには旣󠄁すでに眠ねむりたる者ものもあれど、多おほくは今いまなほ世よにあり。 7 次󠄄つぎにヤコブに現あらはれ、次󠄄つぎにすべての使󠄃徒しとに現あらはれ、 8 最終󠄃いやはてには月󠄃つき足たらぬ者もののごとき我われにも現あらはれ給たまへり。 9 我われは神かみの敎會けうくわいを迫󠄃害󠄅はくがいしたれば、使󠄃徒しとと稱󠄄となへらるるに足たらぬ者ものにて使󠄃徒しとのうち最いと小ちひさき者ものなり。 10 然しかるに我わが今いまの如ごとくなるは、神かみの恩惠めぐみに由よるなり。斯かくてその賜たまはりし御惠みめぐみは空󠄃むなしくならずして、凡すべての使󠄃徒しとよりも我われは多おほく働はたらけり。これ我われにあらず、我われと偕ともにある神かみの恩惠めぐみなり。
 355㌻ 
11 されば我われにもせよ、彼かれ等らにもせよ、宣傳のべつたふる所󠄃ところは斯かくの如ごとくにして、汝なんぢらは斯かくのごとく信しんじたるなり。〘257㌻〙

12 キリストは死人しにんの中うちより甦よみがへり給たまへりと宣傳のべつたふるに、汝なんぢ等らのうちに、死人しにんの復活よみがへりなしと云いふ者もののあるは何なにぞや。 13 もし死人しにんの復活よみがへりなくば、キリストもまた甦よみがへり給たまはざりしならん。 14 もしキリスト甦よみがへり給たまはざりしならば、我われらの宣敎せんけうも空󠄃むなしく、汝なんぢらの信仰しんかうもまた空󠄃むなしからん、 15 かつ我われらは神かみの僞證ぎしょう人にんと認󠄃みとめられん。我われら神かみはキリストを甦よみがへらせ給たまへりと證あかししたればなり。もし死人しにんの甦よみがへることなくば、神かみはキリストを甦よみがへらせ給たまはざりしならん。 16 もし死人しにんの甦よみがへる事ことなくば、キリストも甦よみがへり給たまはざりしならん。 17 若もしキリスト甦よみがへり給たまはざりしならば、汝なんぢらの信仰しんかうは空󠄃むなしく、汝なんぢ等らなほ罪つみに居をらん。 18 然さればキリストに在ありて眠ねむりたる者ものも亡ほろびしならん。 19 我等われらこの世よにあり、キリストに賴よりて空󠄃むなしき望󠄇のぞみを懷いだくに過󠄃すぎずば、我われらは凡すべての人ひとの中うちにて最もっとも憫あはれむべき者ものなり。

20 然されど正まさしくキリストは死人しにんの中うちより甦よみがへり、眠ねむりたる者ものの初穗はつほとなり給たまへり。 21 それ人ひとによりて死しの來きたりし如ごとく、死人しにんの復活よみがへりもまた人ひとに由よりて來きたれり。 22 凡すべての人ひと、アダムに由よりて死しぬるごとく、凡すべての人ひと、キリストに由よりて生いくべし。 23 而しかして各人おのおのその順序じゅんじょに隨したがふ。まづ初穗はつほなるキリスト、次󠄄つぎはその來きたり給たまふときキリストに屬ぞくする者ものなり。 24 次󠄄つぎには終󠄃をはりきたらん、その時ときキリストは、もろもろの權能けんのう・權威󠄂けんゐ・權力けんりょくを亡ほろぼして、國くにを父󠄃ちちなる神かみに付わたし給たまふべし。 25 彼かれは凡すべての敵てきをその足あしの下したに置おき給たまふまで、王わうたらざるを得えざるなり。 26 最後いやはての敵てきなる死しもまた亡ほろぼされん。 27 『神かみは萬よろづの物ものを彼かれの足あしの下したに服󠄃したがはせ給たまひ』たればなり。萬よろづの物ものを彼かれに服󠄃したがはせたりと宣のたまふときは、萬よろづの物ものを服󠄃したがはせ給たまひし者もののその中うちになきこと明あきらかなり。 28 萬よろづの物ものかれに服󠄃したがふときは、子こも亦またみづから萬よろづの物ものを己おのれに服󠄃したがはせ給たまひし者ものに服󠄃したがはん。これ神かみは萬よろづの物ものに於おいて萬よろづの事こととなり給たまはん爲ためなり。
 356㌻ 

29 もし復活よみがへりなくば、死人しにんの爲ためにバプテスマを受うくるもの何なにをなすか、死人しにんの甦よみがへること全󠄃まったくなくば、死人しにんのためにバプテスマを受うくるは何なにの爲ためぞ。 30 また我われらが何時いつも危險あやふきを冐をかすは何なにの爲ためぞ。 31 兄弟きゃうだいよ、われらの主しゅイエス・キリストに在ありて、汝なんぢ等らにつき我わが有󠄃もてる誇ほこりによりて誓ちかひ、我われは日々ひゞに死しすと言いふ。 32 我わがエペソにて獸けものと鬪たゝかひしこと、若もし人ひとのごとき思おもひにて爲なししならば、何なにの益えきあらんや。死人しにんもし甦よみがへる事ことなくば『我等われらいざ飮食󠄃のみくひせん、明日あす死しぬべければなり』〘258㌻〙 33 なんぢら欺あざむかるな、惡あしき交󠄄際まじはりは善よき風儀ならはしを害󠄅そこなふなり。 34 なんぢら醒さめて正ただしうせよ、罪つみを犯をかすな。汝なんぢ等らのうちに神かみを知しらぬ者ものあり、我わが斯かく言いふは汝なんぢらを辱はづかしめんとてなり。

35 然されど人ひとあるひは言いはん、死人しにんいかにして甦よみがへるべきか、如何いかなる體たいをもて來きたるべきかと。 36 愚おろかなる者ものよ、なんぢの播まく所󠄃ところのもの先まづ死しなずば生いきず。 37 又󠄂またその播まく所󠄃ところのものは後のちに成󠄃なるべき體たいを播まくにあらず、麥むぎにても、他ほかの穀こくにても、ただ種粒たねつぶのみ。 38 然しかるに神かみは御意みこゝろに隨したがひて之これに體たいを予あたへ、おのおのの種たねにその體たいを予あたへたまふ。 39 凡すべての肉󠄁にく、おなじ肉󠄁にくにあらず、人ひとの肉󠄁にくあり、獸けものの肉󠄁にくあり、鳥とりの肉󠄁にくあり、魚うをの肉󠄁にくあり。 40 天上てんじゃうの體たいあり、地上ちじゃうの體たいあり、されど天上てんじゃうの物ものの光榮くわうえいは地上ちじゃうの物ものと異ことなり。 41 日ひの光榮くわうえいあり、月󠄃つきの光榮くわうえいあり、星ほしの光榮くわうえいあり、此この星ほしは彼かの星ほしと光榮くわうえいを異ことにす。 42 死人しにんの復活よみがへりもまた斯かくのごとし。朽くつる物ものにて播まかれ、朽くちぬものに甦よみがへらせられ、 43 卑いやしき物ものにて播まかれ、光榮くわうえいあるものに甦よみがへらせられ、弱󠄃よわきものにて播まかれ、强つよきものに甦よみがへらせられ、 44 血氣けっきの體たいにて播まかれ、靈れいの體たいに甦よみがへらせられん。血氣けっきの體たいある如ごとく、また靈れいの體たいあり。 45 錄しるして、始はじめの人ひとアダムは、活いける者ものとなれるとあるが如ごとし。而しかして終󠄃をはりのアダムは、生命いのちを與あたふる靈れいとなれり。
 357㌻ 
46 靈れいのものは前󠄃さきにあらず、反かへつて血氣けっきのもの前󠄃さきにありて靈れいのもの後のちにあり。 47 第一だいいちの人ひとは地ちより出いでて土つちに屬ぞくし、第二だいにの人ひとは天てんより出いでたる者ものなり。 48 この土つちに屬ぞくする者ものに、すべて土つちに屬ぞくする者ものは似に、この天てんに屬ぞくする者ものに、すべて天てんに屬ぞくする者ものは似にるなり。 49 我われら土つちに屬ぞくする者ものの形かたちを有󠄃もてるごとく、天てんに屬ぞくする者ものの形かたちをも有󠄃もつべし。 50 兄弟きゃうだいよ、われ之これを言いはん、血肉󠄁けつにくは神かみの國くにを嗣つぐこと能あたはず、朽くつるものは朽くちぬものを嗣つぐことなし。 51 視みよ、われ汝なんぢらに奧義おくぎを吿つげん、我われらは悉ことごとく眠ねむるにはあらず、 52 終󠄃をはりのラッパの鳴ならん時ときみな忽たちまち瞬間またゝくまに化くわせん。ラッパ鳴なりて死人しにんは朽くちぬ者ものに甦よみがへり、我われらは化くわするなり。 53 そは此この朽くつる者ものは朽くちぬものを著き、この死しぬる者ものは死しなぬものを著きるべければなり。 54 此この朽くつるものは朽くちぬものを著き、この死しぬる者ものは死しなぬものを著きんとき『死しは勝󠄃かちに呑のまれたり』と錄しるされたる言ことばは成󠄃就じゃうじゅすべし。 55 『死しよ、なんぢの勝󠄃かちは何處いづこにかある。死しよ、なんぢの刺はりは何處いづこにかある』 56 死しの刺はりは罪つみなり、罪つみの力ちからは律法おきてなり。 57 されど感謝󠄃かんしゃすべきかな、神かみは我われらの主しゅイエス・キリストによりて勝󠄃かちを與あたへたまふ。〘259㌻〙 58 然されば我わが愛あいする兄弟きゃうだいよ、確かたくして搖うごくことなく、常つねに勵はげみて主しゅの事わざを務つとめよ、汝なんぢ等らその勞らうの、主しゅにありて空󠄃むなしからぬを知しればなり。

第16章

1 聖󠄃徒せいとたちの爲ためにする寄附きふの事ことに就つきては、汝なんぢらも我わがガラテヤの諸しょ敎會けうくわいに命めいぜしごとく爲せよ。 2 一週󠄃ひとまはりの首はじめの日ひごとに、各人おのおのその得うる所󠄃ところにしたがひて己おのが家いへに貯たくはへ置おけ、これ我わが到いたらんとき始はじめて寄附きふを集あつむる事ことなからん爲ためなり。 3 われ到いたらば、汝なんぢらが選󠄄えらぶところの人々ひとびとに添書そへぶみをあたへ、汝なんぢらの惠めぐむ物ものをエルサレムに携たづさへ往󠄃ゆかしめん。
 358㌻ 
4 もし我われも往󠄃ゆくべきならば、彼かれらは我われと共ともに往󠄃ゆくべし。 5 我われマケドニヤを通󠄃とほらんとすれば、マケドニヤを過󠄃すぎて後のちに、汝なんぢらの許もとにゆかん。 6 斯かくて汝なんぢらの中うちに留とゞまりゐて或あるひは冬󠄃ふゆを過󠄃すごすこともあらん、是これわが何處いづこに往󠄃ゆくも汝なんぢらに送󠄃おくられん爲ためなり。 7 我われは今いまなんぢらを途󠄃みちの次󠄄ついでに見みることを欲ほっせず、主しゅゆるし給たまはば、暫しばらく汝なんぢらと偕ともに留とゞまらんことを望󠄇のぞむ。 8 われ五旬節ごじゅんせつまではエペソに留とゞまらんとす。 9 そは活動はたらきのために大おほいなる門もん、わが前󠄃まへにひらけ、また逆󠄃さからふ者ものも多おほければなり。

10 テモテもし到いたらば愼つゝしみて汝なんぢ等らのうちに懼おそれなく居をらしめよ、彼かれは我われと同おなじく主しゅの業わざを務つとむる者ものなり。 11 されば誰たれも之これを卑いやしむることなく、安やすらかに送󠄃おくりて我わが許もとに來きたらしめよ、我われかれが兄弟きゃうだいたちと共ともに來きたるを待まてるなり。 12 兄弟きゃうだいアポロに就つきては我われかれに兄弟きゃうだいたちと共ともに汝なんぢらに到いたらんことを懇ねんごろに勸󠄂すゝめたりしが、今いまは往󠄃ゆくことを更󠄃さらに欲ほっせず、然されど好よき機をりを得えば往󠄃ゆくべし。

13 目めを覺さまし、堅かたく信仰しんかうに立たち、雄々をゝしく、かつ剛つよかれ。 14 一切すべてのこと愛あいをもて行おこなへ。

15 兄弟きゃうだいよ、ステパナの家いへはアカヤの初穗はつほにして、彼かれらが身みを委ゆだねて聖󠄃徒せいとに事つかへたることは、汝なんぢらの知しる所󠄃ところなり。 16 われ汝なんぢらに勸󠄂すゝむ、斯かくのごとき人々ひとびとまた凡すべて之これとともに働はたらきて勞らうする者ものに服󠄃ふくせよ。 17 我われステパナとポルトナトとアカイコとの來きたるを喜よろこぶ。かれらは汝なんぢらの居をらぬを補おぎなひたればなり。 18 彼かれらは我わが心こゝろと汝なんぢらの心こゝろとを安やすんじたり、斯かくのごとき者ものを認󠄃みとめよ。
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19 アジヤの諸しょ敎會けうくわいなんぢらに安否あんぴを問とふ。アクラとプリスカ及およびその家いへの敎會けうくわい、主しゅに在ありて懇ねんごろに汝なんぢらに安否あんぴを問とふ。 20 すべての兄弟きゃうだいなんぢらに安否あんぴを問とふ。なんぢら潔󠄄きよき接吻くちつけをもて互たがひに安否あんぴを問とへ。

21 我われパウロ自筆じひつをもて汝なんぢらに安否あんぴを問とふ。 22 もし人ひと、主しゅを愛あいせずば詛のろはるべし、我われらの主しゅきたり給たまふ。〘260㌻〙 23 願ねがはくは主しゅイエスの恩惠めぐみ、なんぢらと偕ともにあらんことを。 24 わが愛あいはキリスト・イエスに在ありて汝なんぢ等らすべての者ものとともに在あるなり。〘261㌻〙
 360㌻